バンクーバーに忘れものをしてきたので、それを回収がてら、西海岸をちょっとだけ南下する旅をする。
誕生日プレゼントで買ってもらったバックパック背負って、夢のグレイハウンドバスに乗って!
ただ旅をするだけでは、過ぎ去る景色がもったいないので、期間中ブログを書くことにした。
旅程は、バンクーバー→シアトル→サクラメント→サンフランシスコ→ロサンゼルス
期間は、約2週間
移動方法はバスオンリー
そもそも、なぜグレイハウンドが好きなのか、それは映画という夢のせいだ。
私の人生を変えた映画「ララランド」の舞台が、ロサンゼルスだから。
そしてあの有名なオープニングソング(ダウンタウンへのハイウェイを、数時間封鎖して撮ったあの長回しのミュージカル全開のオープニング!)の歌詞に出てくるのがグレイハウンドバスなのだ。
I think about that day
I left him at a greyhound station
West of Santa Fe
We were seventeen
But he was sweet and it was true
Still I did what I had to do
で始まる、"Another Day of Sun"。
思い出すのはあの日
グレイハウンドのバスステーションに
彼を置いて旅にでた、
ウェストサンタフェから抜け出して
私たちは17歳で、彼は優しかったけど
私は私のいくべき道をいく
夢と、希望にはち切れそうな胸で、女優かシンガーか、"なにかしら"になることに憧れた少女の大きなかばん、無造作に上げた髪、内陸の風、スイートな彼の悲しむ眉毛、すべてが見えるような歌い出し。
これが大好きなので、私はグレイハウンドバスで旅をしようと思い立った。
ところで、ロサンゼルスには一度行ったことがあるし、じつはグレイハウンドバスにだって乗ったことがある。
2018年のロサンゼルス旅行、あれは大学の4回生を迎えようとする時期で、今よりも漠然と将来について悩んでいる時期だった。
春、強い日差しの照りつけるロサンゼルス、人々のコミュニケーションの気軽さや身軽さ、海風のすべてをさらっていく清潔さ、何時間でも座っていられるサンタモニカの浜辺、どこからも開かれた危険なスラム、さまざまを見て、私は留学しようと決めたのだった。英語を話せるようになって、西洋文化、というよりは完全にアメリカの文化、に少しでも近づきたいと思ったのだった。
そしてグレイハウンドバスは、2019年の終わり、ニューヨークからトロントへの夜行バスで利用したことがある。
あのとき、私はバスに遅れそうで、初めて英語で他人に怒った。
完全に八つ当たりなのだけど、連れがバスの窓口に並んでいて、私がそれに合流したところ、後ろに並んでいた客が横入りだ!と制止してきた。バスの時間が迫っていて余裕のなかった私は「連れが並んでたから!」とひとこと、ぴしゃりと返した。相手は、ああそうか、と引き下がった。
今より英語力の低かった当時、少ない言葉で(たぶんhe!! was liningとかwaitingとか言ったのだと思う)、正しくない文法で、でも伝えたいことが一発で伝わった、英語は清らかな言語だと思った。
わかりやすい。簡潔で、モダンだ。
とにかく私のロサンゼルス初体験も、グレイハウンド初体験も、もう終わっているのだが、
「ロサンゼルスにグレイハウンドで降り立つ」というのはまだやっていないので、それを叶えにいく。
加えて、やはり映画「バビロン」の影響も今回の旅には大きい。
これもハリウッドの夢を描いた、ララランドと同じ監督の映画だ。
燃え盛る欲望と夢、虚構への崇拝、目まぐるしい現実。
その熱に当てられて、また風邪っぴきのような夢を見る。ために行く。
とりあえずアメリカへの渡航許可がおりたので、ぼちぼち準備をする。