つづき!
服屋さんについたけど、開店はまだ少し先。入り口の警備員のおっちゃんが、早く開けれるか店員さんに訊いてくれたけど、無理やった。「そんなんいいのに!待ちますよお!」が おっちゃんに伝わればいいのに。
斜向かいに、銀行があった。ATMもある。VISAカードでベトナムドンの引出しを試みた。しかし、手数料が明記されておらず、銀行に訊けとのことだったため、銀行の内部へ。
入ろうとすると、警備員さん2人がかりで止められた。なにかを言ってる。ID?と思い、パスポートを見せた。すると坊主のいかつい警備員さんは頷き、通してくれた。もう1人は、まだ退かず、帽子を指差した。脱ぐ仕草。ああ!と思い帽子を脱いだ。
え 個人的なルール?それ?
なんでやろか、と思いながらも帽子を脱ぐデメリットはないので、銀行を出るまで脱いだままでいた。
神聖な場所かどうかは抜きにして、やっぱりベトナムの銀行ってガード固い!
銀行員さんは英語を話さないながらも、Google翻訳で会話して、パソコンでその銀行における手数料を調べてくれた。5%って言われた。VISAの手数料って感じの言い方(Google翻訳の出方)やったけど、結局よくわからんかった。
そんでATMに戻って、手数料に「承諾」を押したら、エラーが出て「このカードではむりです」みたいに言われた。なんでやねん。
警備員さんは、ずっと私の様子を見ていたようで、「むりやったんか?」的なことを話しかけてくれた。私は口角を下げて首を振った。彼は笑っていた。
そんで何店舗か服屋さんを回ったけど、べつに価格安くないしかといってめっちゃかわいい!て服はなかったので何も買わなかった。
開店時間を過ぎたのでさっきの服屋さんに戻ると、パラソルの下で さっきの警備員のおっちゃんがご飯を食べてた。
途中で少し入った路地に、綺麗なグラフィティがあった。
この辺りで 白人の旦那さんとベトナム人の奥さんの家族を見かけた。旅行を通してその組み合わせは2,3組見たけど、彼らはめーっちゃ目立った。逆は一度たりとも見なかったので、みんなどっかの駐在員でこの土地の人と恋をして、住んでしまうことを決めたりした人たちなのかなあと思った。なんにしろ英断だ。
フードツアーで喋ったオーストラリア人の男性が、「アジアは、あんまりにも違う。まったく違うから、セイフゾーンを飛び出すのに勇気がいるよ」と言っていた。想像できる。日本人の私が飛び越える敷居よりも、はるかに高いそれを欧米人は越えなければいけないだろう。
この国は魅力的だ。年中暑くて、湿った国で、落ちる恋はどんなだろうか。すこし気怠いかもしれない。落ちるのにエネルギーが多大に必要なことは必至だろう。しかし維持させるのは案外、氷をいれたタイガービールのように気安いかもしれない。
お手洗いに行きたくなって、トイレ借りるぞと決心して訪れた服屋さんが、不運にもドキンだった。土足禁止の服屋ってなんやねん。
それなのにお手洗いのタイルの床が濡れているし、なんか便座もびしょびしょやし、足元どうやったってすぐそこの排水溝で、〇〇〇〇が死んでいたので「南無三!😖」だった。さすがにふだん使わない除菌シートで便座を拭いた。
ベトナム(や一部の東南アジアの国)では、洋式トイレの隣にトイレシャワーがついていて、ウォシュレットとして使えるらしい。細い蛇腹のホースが壁から出ていて、ひねりがついてるノズルが壁にかけられている。こいつのせいで、たまにトイレがびしゃびしゃなのだ。ふざけんな。サービスエリアのトイレぜんぶピカピカの国から来てんねんぞ。対応できるわけないやろ。
私は心に傷を負い、服を見るのもそこそこにその店を退散した。サンダルを履く前に裸足の足裏を入り口の段差で擦った。トイレ貸してくれてありがとうございました。
少し大通りに出ると、MIUMIUも売っていた。
3,000円以上もするMIUMIUだったので、買うのは やめておいた。
大通りに向けて歩いていると、ほんとうに何かわからないお店にとてもたくさんの人が集まっていて怖かった。
なんかすごくピンクでガーリーなのがよけいに恐怖をかきたてた。
またGrabに乗って、14,560ドン(≒89円)でホテル方面へ。
私は、物事のコツを掴むのが早いので、ドライバーさんに密着してしまわず、肩も持たずに乗る方法をもうマスターしています。
途中で、観光市場の近くを通ったので、そこで降ろしてもらった。ドライバーの肩を叩いて、ここ、ここ、おっけー、とすると降ろしてくれた。
市場に、いい感じの長袖はなかった。テロテロしたパジャマとか、日本のキャラもののパジャマとか、グッチとかコーチとかベルサーチとかが売ってた。市場の人たちは、胡散臭い挨拶(東南アジアの市場と聞いて思い浮かべる日中韓国語の呼びかけ文句)などは誰もせず、穏やかに営業していた。べつにじゃあ観光客相手にわーっとなる感じじゃないんや。じゅうぶん今の経営で成り立ってるってことやもんね、みんな余裕があるってことは。
ベトナムから帰国して、そういえば あれ? と思ったのは貧富の差の見えなさだった。みんなめちゃくちゃお金持ちって感じじゃないけど、みんなふつうにお金を持ってる感じ。路上生活者は私が見た範囲ではひとりもいなかった。ガツガツした商売の仕方をしている人もいなかった。ハノイの道端で胡散臭い布を売るおじさんでさえ、一度きっぱり断ると引き下がった。そういえば戦争証跡博物館か ハノイの戦争博物館かで、「東南アジア初の農業立国として……」みたいな文章を見た気がする。今調べると、自給率は100%を超えるという。車はベトナム車が少しと日韓の外車が主流で、加工食品も日韓のものが多くスーパーに並ぶ。水洗系のメーカーはTOTOもよく見た、エアコンは絶対日本製じゃなかったけど、けっこう外国のものが街中に溢れているので、輸入はたくさんしてるのだろう。ということは国力が強いのか……? なにより国民の間に顕著な飢えがなさそうやし、日本やアメリカみたいに低所得者がたちまちビタミンミネラル不足に陥ることはなさそうだ。
アパレル売り場、布売り場、寝具系ファブリックエリアの向こうは食品の市場だった。こんなに街中でも市民の台所の中心はスーパーマーケットではない。
しょうじきうっかり憧れてしまう。お魚はお魚屋さんから、お肉はお肉屋さんから、お米をお米屋さんで、お野菜を八百屋さんで、買えるようなお買い物なら毎日楽しいに決まってる。何を買おうか迷っていたら、勝手に「夏がくるからハモがいいよ」とか「水茄子のいいのが入ったよ」とかアドバイスされるのだ。「そうかもうそんな季節ですね」とかお客は言って。そしてお米屋さんは私の好みの銘柄を覚えてくれていて、顔を見るだけでいつもの量を計りに載せてくれる。そんなふうなら、みんながそんなふうなら、みんなが主役のお買い物な感じがするけど。どうだろうね、スマホ見ながら音楽聴きながらじゃできない買い物はもう日本では再興しないねきっと。
市場から出て、歩いてホテルに向かった。もう空港に行く時間が迫ってる。
近くのミニストップで最後のお買い物をした。
これは小さな柑橘の入ったジュース。いつも街中で同じのを売ってる屋台を見るんやけど、ジュース系をお外で買う勇気がなくて買わなかった。なのでミニストップにあってよかった。ジュースだけで売っていて、レジで氷をたくさん入れてくれる。
暑い国の飲み物にこれこそが相応しいという味だった。
他によくわからんパンや、スナックを買った。56,200ドン(≒344円)、コンビニで好きなもん買ってこの金額嬉しすぎて、日本のコンビニで買い物できないかも。それはまあ私がいま無職だからだな。インカムがないので、金銭感覚が完全に自分基準なんだ。
ホテルでシャワーを浴びたり着替えたりして、チェックアウトをした。10kgくらいあるバックパックをまた背負う。
私は自分を厳密に言うとバックパッカーではないと思う。ガチの人はたぶん、1泊500円くらいのドミトリーに泊まり、水シャワーを浴びるだろうから。ベトナムで1泊5,000円は贅沢旅行だ。ではなぜバックパックを背負うのかというと、キャリーケースって馬鹿に見えるからだ。ごろごろ音を立ててアスファルトを大移動するのってあんまりにも滑稽で好きじゃない。友達やママとの旅行のときは、それより優先したい利便性があるからぜんぜん使うねんけど、ひとりのときはバックパックで動く。そのほうがなんか危険な目にも遭いにくそうで、お金持ってなさそうに見えるし。
さあピンク教会も見納めだ。
かなりかわいい。開いてる時間に通らなかったから、中は見られなかったけど、内装も綺麗なんかなあ。
最寄りのバス停で、微妙に壊れてるスクリーンを見ながら最後のバスを待つ。
他にも待ってる人がいたので、「152のバスってもうくるよね?」と訊くと、男の人は「もう数分で来るよ」と答えてくれた。
5分後、その人のバスの方が早く来て、男の人は「152ももうくるからね!」と言いながら乗り込んでいった。優しい人だ。
少し待ったらバスが来て、
5,000ドン(≒31円)支払って乗った。
集金係がおっさんで、私にベトナム語でなにか喋りかけ、他の乗客が笑ったので「は?何笑ってんの?」と英語で言ったけども伝わらなかった。乗客は私に目を合わせなかったので いいことを言ってるわけではなさそうやったけど、アホとか死ねとか言われてるわけでもなさそうやった。からギリギリ嫌な気持ちにならずに済みました。
バスは、空港が終着駅みたいだった。降りるときには、おっさんは国際線に乗るのにどっちに向かうか教えてくれたりもした。乗客は空港で働く人だったようで、私が地図を見ているとその人も教えてくれた。
私もぜんぜん、英語で外国の人と喋りながら日本語で内輪の話をして笑うことがあるから、必ずしも彼らが嫌なことを言ってるとは思わないけど、その経験がなければ悪口言われてると思ったやろな。
言語というのは難しい。日本語が第一言語である人にとって、日本語を学習中の外国人はたどたどしく話し、可愛らしいという印象さえ抱かせるだろう。しかし日本語では常に言葉足らずな彼らも、自らの第一言語では私たちとまったく同じ範囲で思考と表現をしている。だから常に外国人というのは、話せる量よりもはるかに多く考えている。それはでも見えないからこそ難しいね。
そして空港!はあ!むかつく!!
フォーを食べようと思ったら4万ドン(2000円超え)、バインミーでさえ2万ドンとかする。アホか!なんでどのお店も満員やねん?こいつら揃いも揃ってアホなんか!!!なんで空港の外の10倍すんねん!ぼったくりにもほどがあるやろ!!!
お腹ぺこぺこやけど、何も食べないことにした。したけども、私の乗ろうとしている便に遅れが出ているのを発見した。
予定では、
16:20 ホーチミン出発
✈️
19:25 クアラルンプール到着
6時間半のレイオーバー
1:55 クアラルンプール出発
✈️
9:35 大阪到着
だった。
レイオーバーが長いので、ホーチミンを出発する飛行機がいくら遅くなろうと大丈夫なのだ。クアラルンプールはマレーシアの首都で、ホーチミンより1時間進んでいる。
でも、ベトナムは日本との時差2時間なのに、なんでマレーシアは1時間なんだ…………?ベトナムの方が日本に近いのに…………………?世界………🫨
出国審査の列………!けっきょく、1時間以上並んだ。
しかも、1時間並んでさああと数人で自分の番!てときに、後ろからわらわらと団体が進んでくる。何事かと思えば、チケットを見せながら「最終搭乗時間を過ぎてしまってるんです、順番を譲ってください」と言っている。みんな快諾する。一様に1時間並んで疲れているはずなのに……。
オッケーと言ったのに後悔するほどいっぱいいた。7人くらい。それぞれ、別の列に分散している。中規模のツアーか。韓国人のようなので、「けんちゃなよ😌(大丈夫だよ)」と言ったら喜んでいた。
ふと、気になったので前の女性に「飛行機まだちゃんとおるの?」と話しかけたら、英語はわからないようだった。それを見た先頭の男性が、私のパスポートを見て「日本人ですか!」と日本語で話す。「そうです😊」と日本語を話す人との遭遇が嬉しくて笑顔になった。
「1人ですか?」と訊かれ、「そうです!みなさんは、お友達ですか?」と答える。すると男性はニヤリと笑って「教会の仲間です」と言った。あの、韓国人男性にちょくちょく見る無表情ベースの笑顔ってちょっとユーモラスでおもしろい。あれは絶対韓国人男性にしかない表情だと思う。アイコンタクトは離さずに低い声さえ出して笑うあれ、思い出すだけで楽しい気持ちになってきた……。
「教会ですか」と答えながら、そうか韓国ってキリスト教徒多いもんなあと思う。「ベトナムにもいっぱい、教会ありますもんね」と付け足した。
すると男性は、またニヤリと笑って「でも、秘密です、えっと………イリーガル。」違法が日本語で出てこなかったらしく、英語で言う。「え?イリーガル?チャーチが?」私も英語混じりに言うと、女性がその男性になにか鋭く言った。男性は小さな声になり、しーっと口元に指を当てて「そう、だから誰にも言わないでください」とまた半笑い。「はい、アイ ドント テル えにばでぃ」となぜか英語になる私。
意味がわからんまま、男性の出国審査の番が来て、話が終わった。
え?みんなで教会に礼拝するのが違法?どういうこと?
今、インターネットでなんとなく調べてみると、「なぜ入国時にreligon(宗教)の欄があるのか」という質問がヒットした。たしかに、私も入国のときどこかでその質問があり、何も考えずに"none"と答えたような気がする。その質問に対するインターネットの人の答えは、「ベトナムには元々の宗教から改宗させるような動きを禁じる法律があって、一部の宗教を信仰している者は入ることができないっぽい」みたいな感じだった。
そうか、ベトナム政府は、信教の自由を認めてないんだ。宗教的な活動をベトナム国内ですることを禁じているらしい。だから、ニヒルな笑みの彼は、イリーガルと笑ったんだ。
数日越しにわかった。穏やかに見えた国の雰囲気は、独裁政党による様々な統制のもとで成り立っているんだ。
そうなると、ハイフォンからホーチミンへのフライトを思い出す。ほぼ100%ベトナム人の乗客、彼らの手にはしばしば身分証明書の他になにかの書類が握られていた。立派な質の紙に、模造禁止の細工のような豪華な装飾と印字。フライトの料金は日本円にして2万円ほどで、ベトナムの基準からしたらきっととても高いので、この人たちはひょっとして何かに選ばれたとかで特別なクーポンを持っているのかなと思ったものだ。実際どうなのかはわかんないから適当なこと言えへんけど。
なんかでもまあイリーガルな巡礼を終えて韓国人たちは無事出国できたみたいだった。危険を犯してまで礼拝にくるなんて、ベトナムって宗教的にも魅力的な街なんや。宗教のことになると、神道という自然宗教的なもののふわっとした信教スタンスの国の人間としては、たちまち他人事感が増す。他人事やけどタブーは好きやから、めっちゃ興味湧くけど!
フライトはまた少し遅れて、待ちは2時間くらいになった。暇すぎるしお腹すいた。お水も保安検査場通ったから持ってない。
こりもせずお店を覗くと、ゲート内のお店は、アメリカドル表記になっていた………。バーガーキング………10ドル…………………いやまあフェア………やろうけど………アメリカにおるわけでもないのに………10ドルは嫌だ……。
そしてバインミーらしきものを出してるお店の前を通ると、価格は1つ5ドル。他のお店よりは安かった。
店員さんはフレンドリーに「Are you from Korea?」と訊いてくる。もうその質問に疲れた私は「Do I look like? All the people say I look Korean but I'm actually Japanese.」と半笑いで早口に言ってしまった。店員さん、引いてた。だって私が韓国人に間違えられることもほんとは日本人なことも彼には関係ないもの。イライラしてすみませんでした……。
そして購入。日本円でも支払いオーケーで、750円だと言う……………
😡😡😡😡😡😡😡
ベトナムドンでは117,000ドン(≒712円)、街で買う5倍以上ってなんかほんまに腑に落ちひん!
しかもはらぺこで食べたら、めちゃくちゃお肉から八角の匂いがして、具は主にネギで、美味しかったけどこれバインミーじゃないじゃんかああ😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡と思った。
ここで出てくる疑問が、人々はこれでオーケーなのかということだ。
私は空港のクレイジーな物価を知る前、航空会社のカウンターで職員の人に、「空港に美味しいフォー屋さんとかある?」と訊いた。職員の人はぎこちなく笑って「セキュリティーゲート内に入ったら、上の階にレストランがたくさんありますよ」と答えた。欲しい答えぜんぜんそれじゃないわ、と思ってたけど、そらそうや。職員の人が空港で食事するわけない。アホらしすぎるもん。
でもオーケーな顔で食事する外国人たち。疑問としては、「街中でもこの価格帯で食事していたのか?」というもの。「それとも空港やから仕方ないと割り切っているのか?」うーん?それならどこのレストランもほぼ満員なのはおかしいけどな……。
しかし観光中を思い出すと、街中の光景が答えなのか。私が行ったほとんどの食堂はベトナム価格で、外国人見なかったもんな。
そしてさらに悪いことに、クアラルンプールから大阪への便が遅延していた。4時間くらい。出発は、朝の5時過ぎだ。
あーーーーーーーーーん😭と思いながら、クアラルンプール空港でのレイオーバーの過ごし方を調べる。ベンチや床で寝る人も多いと書いてあった。しかし2つのサイトで、7時間以上のレイオーバーならセキュリティゲート内のカプセルホテルか予算があるなら もう少し高い個室のホテルに泊まるのを勧めると書いてあった。
どうしようかなと考えていたら、喉がからからになって、お店を覗くと500mlのお水が4ドル(≒620円)で売られていた。しばくぞ👍喉乾いたまま出国したるわ。
搭乗直前でゲートは変更になり、大勢でわらわらと移動して、ようやく乗り込んだ。
広告募集の案内がこんなふうにそこかしこに貼られてたけど、そんなに集まってないんか?
飛行機では爆睡した。子どもの泣き声が聞こえたような気がしたけど、眠っていたので大丈夫だった。人は、どんなものであれその環境にいずれ慣れるのだ。
次はクアラルンプール国際空港編!でようやくの帰国だ!!!