2023.3.27
迎えたDay 1
と言いつつ旅は昨日=3/26の夜から始まっていた。
勤務していたホテルが閉館を迎える関係で、3月で辞めることになっていた。昨日が私の出勤の最終日だ。最終日は何事もなく、静かに終わった。プリ最終日は、アメリカ人大学生の団体の対応に追われてクレイジーだったけど。
22時まで勤務、そして、23時半のバスで梅田からはるばる、東京駅へ。
グレイハウンドではないけど、3列バスは大好きだ。しかし、私の心は完全に浮かなかった。
なぜなら、3/26の朝の時点ではまったく、アメリカに入国できるかわからなかったからだ。
2月の半ばから旅行の計画を立て、こつこつ準備してきた。泊まるホテルや乗るバス、治安のいいとこ悪いとこ、平和ボケした日本人としてリサーチは、して しすぎることはない。
だから見ていたのだ、ちゃんと、アメリカの入国にはワクチン2回以上接種の証明書が要ること。
日々、ホテルの業務のなかで、全国旅行支援割というbullshitな税金ばら撒き事業の一環として、客のワクチン3回接種の証明書を見ている。彼らはさまざま提出する、アプリのやつ紙のやつシールのやつ。
だから私もなにも考えずに、シールのやつ(=接種証明書(臨時))を提出すれば大丈夫だと思っていた。
海外渡航用の証明書が要るなんて知らなかったのだ。
(臨時)なんて書いてあることなんて知らなかったのだ。
3/26の朝に気づいた。これじゃだめなんじゃないかと。
そこからはもう、血眼になってネットの海彷徨う。
「アメリカ 入国 接種証明 日本語」
「pcr検査センター 梅田」
「ワクチン 打たない 診断書」
「ワクチン 診断書 東京」
「アメリカ 入国 できなかった」
勤務の休み時間も、半泣きで調べていたら、トリップドットコムから電話がきた。
え、ばれてる……?と 思って出たら、
『お客様が搭乗される予定の飛行機の出発時間が変更になりました』と、アジア系の男性の流暢な日本語が続く。
『つきましては、ロサンゼルスでのトランジットのお時間が1時間半となり、必要とされる時間の2時間より少ないため、トランジット不可となります』
「え、じゃあどうすればいいんですか……?」
本当にどうすればいいんですか、だ。もう、来るなってことなのか。私は北米に拒まれているのだ。
『そうですね〜、東京-ロサンゼルス間での代替機をお調べいたしますと、お客様が搭乗される便しかございません』
「はい」
私は辛抱強かった。勤務中の、15分間の休憩中で、時間がなかったけれども、こういうときに焦って先を促したっていいことがないからだ。
『ロサンゼルス-バンクーバー間も、こちらから変更をすることができません』
「じゃあどうしたらいいですかあ」
ビルの地下、コンクリートの床壁天井に、私の大きな声が響く。私の特技は混雑した居酒屋で店員さんを一発で呼べることだ。
でも、トリップドットコムの係の人は電話の向こうだし、私の注文は訊いてくれない。海外の予約サイトが空気感で動かないことは、ホテル勤務のなかで痛いほど知っている。
『そうですね〜、お客様のほうで新しくロサンゼルス-バンクーバー間のチケットをお取りいただいて、そちらの料金を補填いたします』
「はいぃ……」
『新しい方のチケットのお値段が高ければ、差額はお支払いいただくことになります』
「そうですか……」
最初のフライトまでもう20時間を切っているのに、今から代替の便を探すのか……私はすでに疲弊していて、というよりもはやアメリカに行くこと自体にビビっていたので、怯んだ。
それでもコマンドは、「承諾する」しか用意されていないのだ。
「わかりました……」
「ちなみにぃ…………」
「ワクチンの接種証明って日本語のやつじゃあだめなんですかねえ………」
『わたくしどもでは答えかねます』
「ですよねえ………………………」
ですよねえ。
そこから代替の便を探し、大使館に電話するも休館日(もちろん、日曜日だ)、航空会社に電話するも『お答えできかねます』、大使館のホームページを見ると「航空会社に訊いてください」、詰みだ。
まじで行けないかもしれない。
まじで全部パァかもしれない。
暗い気持ちのままで乗る夜行バス、それでもお腹が空くので、周りの人にごめんと思いながらビビンバ風サラダ(=ファミマの新作。量多いしひき肉も卵も入ってるから満足感高くてめちゃくちゃいい)を食べて、サービスエリアで凍えながら歯磨きをした。
土山サービスエリアは寒かった。風がぴゅうぴゅう吹いて、木々にはいっさいの緑なく、おまけにさむざむしい色の電飾が光っていて、凍えた。
女の子たちが電飾をバックに動画を撮ったりしているさまも、なんだか気温の厳しさをさらに私に増幅させた。
私は乗れるかもわからない飛行機に乗るために東京に向かっているというのに、コンビニは大盛況で、家族連れは家ごと移動しているみたいな充足感で、男の子グループはイソギンチャクみたいにひしめいて、女の子たちはぱたぱた忙しなげで、カップルたちは車内の空気そのままで湿っぽく、老人たちはみな清潔そうで、私は働いてそのままの夜行バスなのでしみったれてくたびれている。
ほんとうはお土産とか見るのが大好きなのに、まっすぐにバスに戻る。なかなか出発しない。早く着いたって遅く着いたってべつにどうでもいいのに、と思いながら泥のように眠った。
そしてピーーーーース✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎
でけた出国!😊😊😊😊😊😊😊
空港でチェックイン前に窓口の人に日本語の接種証明(臨時:)を見せたら「ああ、はいいいですよ」って言わりた😊😊😊✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎
うれぴーーーーー😊😊😊😊😊😊
チェックインのとき、荷物もほんまは1kgオーバーやけどいいよて言ってくれた😊😊😊うれぴ😊
アメリカでは自分で説明してこれが接種証明やて言うんやでって😊りょうかーーーい😊😊😊✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎
とりあえず気をつけて行ってくるわ😊😊
フライト遅れてるしゆったりや✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎😊✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎✌︎
やし、おうどん食べたわ✌︎✌︎お水2個も飲んだ!すまん!😊これで850円くらいしてむかついたけどまあええわ😊
ほな😊😊😊
追記
成田行きのバスで隣になったおばあちゃんごめんね。
目の色が透き通るように薄くて、私の大阪弁をぜんぜん解さなかったおばあちゃん、もっと親切に話せばよかった。
「枝垂れも綺麗ですね〜」って、枝垂れ桜を知ってるのがもう素敵や。
「良い旅を」って言ってくれてありがとね。「そちらこそ」って私は返したけども、日本語ってやっぱりちょっと素っ気ないよね。