旅にグレイハウンド

西海岸をグレイハウンドで行く

秋田編挫折のお知らせ

 

 

 

 

こんにちは!

すっかり季節は夏となり、少し肌寒かった秋田への旅行はもう数ヶ月前のこととなりました!

 

しっかりくっきり覚えてはいますが、もう書きつけるほどの鮮度はとうにありません!

なので、おもしろかったことを断片的に書いて終わりにしようと思います!

 

さて何もない辺境の地に送り込まれた私は、行き道のバス代で現金をすべて使い切ってしまいました。秋田の"何もない"山のなか、一文なしです。

いちおうATMがあるという情報を閑散期の観光案内所で手に入れた私は、歩いて実に3時間の距離をとぼとぼと歩き始め、からくも30分ほどで挫折。

道端でそういえばタクシーを見かけたなと思い、文明の利器すべての集約、スマートフォンでそのタクシー会社に電話をかけました。

するとびっくり「お姉ちゃんさっき歩いてたね?」と言われ ああやっぱり田舎って壁に耳あり障子にメアリーやなあ、と思う。強く。

おじちゃんに経緯を説明すると、快くATMがあるという町役場の分署へ運んでくれた。一文無しの20代女性を。

私は賭けに勝ち、ATMはゆうちょ銀行。もちろん、なんの銀行のATMがあるかなんて知らなかったし、私はすべての銀行に口座を持っているわけではないので、ほんとうなら冷や汗ものでした。

おじさんは西には名古屋くらいまでしか行ったことないんやって。秋田にはそういう人は多いらしい。

お礼をして、ほとんど聞き取れない現地の人との会話や長いバス、電車の乗り継ぎを経て戻った秋田駅

どうしても自分をセレブレートしなければ気のすまなかった私は、居酒屋をハシゴした。

2軒目のお店がすごくよくて、私は知らない北海道のご夫婦に「あなたみたいな子は最高!ほんとに最高!嫁に来て欲しい!」とベタ褒めされたり、生まれて初めて美味しいと思う日本酒を飲んでとても機嫌がよくなりました。

f:id:nico-fuumi:20240719142836j:image

日本酒とお味噌ってこんなに合うんだ、と改めて日本人であることの喜びを感じました。
f:id:nico-fuumi:20240719142834j:image

秋田長屋酒場ってとこ。エンターテイメントやった。

 

さて次の日は市営市場へ。なにか列ができている。謎を抱えながら回転寿司屋さんに入ると、隣のおばちゃんに話しかけられる。

聞くと、土曜日には市場で金券のようなものが売られるので、みんな並んで購入するらしい。1000円くらいお得にお買い物や食事ができるので、おばちゃんは購入したときにこうして1人で回転寿司という贅沢をするのだそうだ。

おばちゃんは不思議だった。「大阪って……女の人が立ってるんだよね?」というトンチキな質問を急にしてきたからそう思った。私は頑張って頑張って「…………あ 立ちんぼのこと??」と汲み取った。「そんなどこかしこにいるわけじゃないですよお」と、大阪の名誉にかけて返しました。立ちんぼなんて新世界か堂山でしか見たことないし。

そんな的外れなことを訊くくらいだから、おばちゃんも大阪には来たことがないらしい。そして、田舎の人だというのに決して閉じてないんだな。1人で回転寿司食べにくるなんて、楽しいことを探している人だからかもしれません。

この日は八郎潟へも行きました。社会科の授業で習った、よくわからない場所。まずもって湖を埋め立てて田植えするなんてクレイジー

想像通りとても興味深いところでした。延々と続く平坦な大地。ひとところにまとめられた住宅街の区画整理は、ここにはほんとうには何もなかったことをまさに表すような几帳面さ。

この写真は、区画ごとにフルネームで世帯主の名前が書かれてあったので、珍しくてしかしプライバシーの観点からスマホで赤く塗りつぶしたやつです。

f:id:nico-fuumi:20240719144217j:image

あの大地。きっとあそこに住む人は特別なんだ。なにか細かいところがたくさん絶対に違うにきまってる。 大潟村干拓博物館は、1時間くらいかけて見学しました。帰り道、キジを見て嬉しかったです。たぶん行く機会のある人はとても少ないだろうけど、行ってみたら驚きや発見があると思います。とてもおもしろい経験だった。私は間違いなく行ってよかったと言う。

知っていることと、実際の匂いを嗅いで大地を踏んで風を感じて存在することは、ほんとうに違いますからね。八郎潟と聞いて私には想像する景色ができたわけです。これは人生におけるアドバンテージ。

 

そうして一夜明けて次の日、フェリーで帰ってきました。

フェリーターミナルで食べたなんてことないおにぎりでさえ、めちゃくちゃ美味しかった。

f:id:nico-fuumi:20240719144543j:image

新日本海フェリーは快適でした。果てしなくゆっくり時が流れ、大浴場にはなんとサウナがありましたので数回入りました。

乗船後に大声で電話をしていたおもしろいおばあちゃんがいました。「もけけっていうの???それがほしいのね??」と大声で。そのさまが、不快に聞こえず、なんともラブリーで聞いてるこちらが笑ってしまうやりとりなのです。旦那さんは少し恐縮していて、静かにね、と優しく言い、言っても無駄だな〜というふうに笑っていました。いい夫婦だなと思って私は見ていました。

そのおばあちゃんとお風呂場で一緒になりました。他にお客さんのいない、真昼間の贅沢な湯浴み、その共犯者です。大浴場で話しかけられたとき、私は「もけけってなんですか?」と訊きました。ほんとうは、高校生の時にクラスメイトがそのキャラクターについて話していたので知っていましたが、おもしろかったので訊いたのです。

もけけは、地域によってデザインの違うキャラクターのキーホルダーでした。お孫さんが、日本各地を旅するばあばとじいじに、お土産として頼んだらしいのでした。

おばあちゃん達はたくさん旅行をしているようでした。今回は、秋田からフェリーで渡り、九州一周を試みているようです。車で、もうほんとうの後期高齢者なのに。

たくさん話をしました。おばあちゃんは姑と小姑の嫌味に耐えて、秋田の田舎の長男たるおじいちゃんの家に嫁いで頑張ったらしい。「みんないなくなったら家は長男のものになる、それまでの辛抱だ」と実家の両親に励まされて。そんな果てしない辛抱、私には無理だと思いつつ、「辛抱したから今がある、なにかを耐えないと幸せはやってこないって思う」というおばあちゃんの言葉に、まあそうなのかも、と思いました。なにしろ私はまだまだ亀の甲より年の功だと思っています。今の若者と話すより、お年寄りと話すほうが100倍楽しいです。だって彼らには輝いたり傷ついたりした過去があるから。そういう話はおもしろいです。今の若者には過去もなければ未来の希望もないようなので、ほんとに鼻くそだと思います。私は違うのでなおさらです。

いろいろ話して、服を着てさよならをしました。しかしここは船です。食堂ですぐに再会しました。

そしてなんと、おじいちゃんが「おせわになりました」とビールをご馳走してくれました。

f:id:nico-fuumi:20240719144917j:image

船の上のビールは格別でした。おじいちゃんの席に行き、乾杯だけしました。ご夫婦はなんというかとても気持ちのよい距離で接してくださり、ほんとうに佳い人たちなんだな、と、思いました。これは旅の醍醐味ですね。人と話をしなければ旅はおもしろくないとさえ私の場合言えるかもしれません。

早朝、4時くらいにアナウンスで起こされ、車で来たご夫婦とは別々の下船なので挨拶できず、着いた敦賀は桜が満開。

f:id:nico-fuumi:20240719145137j:image

旅の出会いは湿っぽくなりようがないので好きです。

私にとってまた忘れられないほど楽しい旅の記憶が増えました。

 

さて、なぜ更新したかというと明後日からベトナムへ、ひとり 旅するからです。

当日に更新するとちゃんと継続できるということはロサンゼルスで学びましたので、そうします。

こないだ母と沖縄へ行ったのですが、それもおもしろかったのでこんな感じの圧縮版で書きつけるのもありかなと思います。

 

では mucho gracias mi amores!