旅にグレイハウンド

西海岸をグレイハウンドで行く

2024.1.1 釜山-韓国

 

 

新年、あけましておめでとうございます。

(春の海の冒頭、琴が鳴る)

2023年もたいへんお世話になりました。

(琴の独奏パート続く)

2024年もいろんなことをしていきますが、

(琴の音に重ねて尺八が躍り出る)

まずは新年ドアタマ、釜山の旅行記を書こうと思います。

(琴と尺八の独奏同士みたいなリズムずれの演奏が続く)

 

韓国の首都・ソウルには2回くらい行ったことがある。

2018-2019の年越し、2022-2023の年越し。どちらもママと2人の旅行、美容そっちのけの食い倒れ。

今回の釜山旅行も同じく、お腹が空く暇もなくずっと何かしらを食べていた。

 

出発はママの運転する車。前日、大晦日はしっかり年越しを友達と過ごしているので少し寝不足。5時間くらいしか寝ていないというのに身体も頭も元気。年末、ぶあーと働いて、ゴールたる釜山旅行、実感も伴わないままにその時が来たがわくわくというものはどうしたって湧いてくる!

ほんとは関西空港のリニューアル、楽しみにして行ったのやけど、私たちの乗るJeju Airは第二ターミナル発着。それで仕方なくお店の選択肢の少ないなかプロントに入る。

朝ごはんは、チーズトーストのセット!

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店員さんがあどけない顔のマッチョで、かわいく微笑んでくれるので嬉しかった。のだが、外国人観光客にも徹底して日本語で接客するので笑った。おもしろかった。「さんびゃくごじゅうえんのおかえしになります!」と元気にお釣りを渡して、「ありがとうございました!」と送り出す。その堂々とした態度たるや。若いのに肝が座っているな、と思った。

そもそも、空港で働くというのは、どのような業種であれ少なからず英語や外国語のスキルが必要とされるということと同義だと思っていた。

しかし彼はまったく英語を話さず、動じず、そして動じなさはもちろん一時的にできるレジ前の長蛇の列にも発揮され、冷静に客をつぎつぎと捌く。

なんというかまあフレキシブルこそが正しさだと思っていたけれども、安心や安定というものだってよい。客に合わせることも、合わせないことも、接客業には大事なんだなあと思った新年一発目の食事。

同じプロントで、ひとつ隣に座ったカップル。おじさんと若い(と言っても20代後半に見えた)整形女が毒にも薬にもならない話をしている。女の手にはプラダの鞄。今からどんな旅行に行くのだろう、この人たちは。

私と母はそういう面で性格が悪いので、もちろん噂話をする。母は女をある意味勝ち組だと言ったので、私はそれを諌めた。

異様に見た目に拘泥して不可逆なメスを顔に入れ、男に貢いでもらうための人生というのは少しも豊かに見えない。おじさんはスーツケースにランボルギーニのステッカーをつけていた。

私は、そういうものを醜いと思ってしまう。

電車で見かけた、ノーブランドの鞄に括り付けられたルイビトンのスカーフ。私はああいうものが、形骸的で不恰好な背伸びが、この世でいちばん醜いと思う。

ランボルギーニは速く走るだろう。知らないけどシートの座り心地も良くてもちろんボディは格好いいだろう。

ビトンの鞄は長持ちする。革のいい匂いがして、経年に耐える質の良さと、普遍のロゴは持っていると箔がつくだろう。

しかしランボルギーニのステッカーやビトン柄のスカーフつき財布には、なにも伴っていない。

偏見まみれの会話を母としているうちに、カップルは去り、周りは外国人観光客ばかりになる。私たちは2杯目のコーヒーを注文し、キットカットを食べた。空港はいいな、環境を構成する人のメンツが目まぐるしく変わって退屈しない。

そうこうしているうちに保安検査場へ入る時間になり、約1時間のフライトでぶじ釜山に着いた。

これはトイレの写真で申し訳ないんやけど
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なんかすごく韓国に来たなあという気持ちになって嬉しくて撮った。

この、文字がまったく読めない感じは楽しい。

12:30に到着&リリース!金海空港からタクシーに乗り、釜山の中心地へ。ここは下調べ通り、荷物を抱えて公共交通機関に乗るより安いタクシーに乗った方が気楽だという考えからだった。

しかしまあ後で考えると、タクシー選びを間違えて2倍近くの値段をぼったくられてしまった。個人タクシーで日本語ぺらぺらのおじちゃんで、おまけに金銭感覚も掴めていなかったので仕方ないにしても。

おっちゃんは「美味しいご飯屋さんはロッテ百貨店の裏にあるから!そこにいけばなんでもあるから!」と言う。そんなんええから無駄にブレーキかけんのやめてくれと思った。あれでメーター稼ぎをしていたのだろうか、したたかに酔った。

まあそれはよくてホテル!

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西鉄ソラリアホテルという日系のホテル。西面(ソミョン)という中心地にあって、どこにでもアクセスしやすい。到着するやいなや韓国人のお兄さんが「こちらです!」と日本語で対応してくれた。

そして、チェックイン前に荷物を預けて両替所に向かう。

ナヨン両替所という、ホテルから目と鼻の先にあるどうやら日本人に人気の両替所だった。
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ちょっと路地。

ここまでぽんぽん来たので、円ウォンのレートなんてまったく知らず、仏頂面の老夫婦にお金を渡しながら「レートは?」と訊く始末。

韓国やから、下調べしてるから、スムーズに良いレートで両替できたけど、東南アジアやアフリカやったら終わってたやろ!あのムーブ!

そういえばサンフランシスコで両替したときは中国人の両替商やったなあ、ロサンゼルスでは受付は欧米人やったけど、どっちも手数料がかかった。レートは悪くなくても、手数料でなんか損した気分になった。

ナヨン両替所は、「円渡す→電卓見せられる→ウォンになってお金戻ってくる」、これに15秒しかかからんかったし、手数料もくそもなかった。商店みたいなとこで一瞬で両替は終わった。

 

ウォンもゲットしたし、お腹も空いた!

ぼったくりのタクの運ちゃんの言ってた「ロッテ百貨店の裏」を目指す。

1月1日でも、釜山には開いているお店が多い。というより飲食店の母数が圧倒的に多いために、開いているお店の数が必然的に多いのだ。

ぶらぶら歩きながら店先のメニューを見ていると、店員さんが中から出てきて迎え入れられたので入った韓国料理屋さん。

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メニューがセットメニューしかなくて、チゲの種類だけ選べた。

「2人とも豆腐チゲで!」と頼んだ5秒後に次々とお皿がテーブルに並べられる。

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1人なんとお値段9,000W。

そして、数年前のレートの頭で韓国に行っていたので「900円てことやん!」とこのときは安さに喜び合っていたけれども、円は思ったより弱くなっているのですね。今、レートを調べると約1,000円でございました。びっくり。とたんにちょっと高く思えるな。

そしてこのお店の売り、メインは真ん中の鯖料理。青々とした鯖と大根を唐辛子やお醤油やでとにかく煮たものだった。

これがまあ、やっぱり、なんというか、完全に臭い。

魅力的に茶色くくたくたに煮えた大根がとにかく魚臭い。一口含むとたいへん臭い。その魚臭さが逆に感覚を麻痺させ、「この魚臭さはほんとうに魚臭いのだろうか」という哲学的なバグが起きて、大きな大根一切れをほとんど完食してしまったほどだ。

母は私の魚臭いの一言から、いっさい大根に手をつけず、「骨解体してあげる」と言って身をほぐすという行為によって鯖に接しているというていを確立させ、鯖さえもほとんど食べなかった。私は、脂の乗ったはちはちの身とひとりで戦う羽目になった。

店員のおじさんは仏頂面やけど親切で、日本語も話してくれる。しかし私が拙い韓国語で「チョギヨ〜、イゴ、ハナトチュセヨ〜(「すみません、これもうひとつください」になってたら嬉しい)」と言ったら嬉しそうに笑っておかわりを持ってきてくれた。

頼んだのは飲み物やったんやけど、100割粥みたいなお米の飲み物で、熱くも冷たくもない不思議な温度だった。

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お店の外観。店名は知らん。

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1月1日でも、都会のソミョンでは営業してるお店はわりと多い。夜はもっと多かった。韓国では旧正月のほうが重宝されるもんね。

なんかいかがわしげなモーテルとかあった。ラブホって日本だけの文化じゃないんや。この辺りはこういう、車入るとこにぴらぴらついてるみたいなホテルが何軒かあった。
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温泉のマーク、ソミョンで2回くらい見たけど、ほんまにお風呂の意味なん??

ご飯食べた直後やけど、口があまりにも鯖臭いためにコーヒーを必要とした私たち(私だけ)はカフェに逃げ込んだ。

 

韓国のカフェの量というのはほんまにすごい。日本の街の自販機より、歯医者より、美容院よりある。助かるけど、文化として

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brewed コーヒー☕️がないのがいたい。ふつうのホットコーヒーを置いているお店、ついに見なかった。全店がイタリア式で、重厚なエスプレッソマシンを置いているため、「コーピー!」と注文するともれなくアメリカーノエスプレッソのお湯割り)が出てくるのだ。

前にイタリア人のボスが「アメリカーノとか、せっかくのエスプレッソを台無しにする行為😠理解できん😠」て言ってたし私も今は同感。

しかし内観はやっぱりかわいい。韓国。

Vintage 38 store 2 住所:부산광역시 부산진구 가야대로784번길 21
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そして韓国のカフェは甘いものが豊富。
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ケーキのショーケースの隣に、たくさんの焼き菓子がディスプレイされていた。お腹いっぱいやけどもちろん食べる。

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細かく切られたフィナンシェはチョコがけでしっとりして美味しかった。けどクッキーはぱさぱさでカリカリおかきみたいやった。

1月1日は海雲台(ヘウンデ)に行く予定。ロマンチックな名前のとおり、海辺にある街、海を見にいく。なのでカフェイン摂取もそこそこに、ソミョンを離れる。

Googleマップで経路検索すると、バス/電車/路面電車/地下鉄の別がわかりにくい。

乗り場に行ってみると、地下に行く道があった。

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地下鉄〜
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入り口は動物園みたい。古風。

でも、乗り場は近代的。
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ソウルの地下鉄もこんなんやった気がする。

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写真撮ってないけど、韓国の地下鉄って、火事対策がすごい。どの駅にも防火用の砂袋の棚があったり、車内には火事の時の避難の仕方のポスターがひつこいくらい貼ってあったりする。

ぜったいなんかおっきい事故や事件があったんやろうな、と思ってた。そして今調べたら、やっぱり2003年に地下鉄で192人亡くなった凄惨な事件があったらしい。だって火災対策ほんまに潔癖なまでやもん!

そして地下鉄で30分かけて(爆睡)ヘウンデに到着!

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でっかい道路が海まで伸びてる!
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道頓堀みたいなノリ。

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ぼっタク運ちゃんも「釜山は日本でいう大阪!」て言ってたもんな。

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大通りにはこういう写真スポットばっかりあって、みんな写真撮っては少し歩き、また写真を撮って進む。

ずっと同じペースで歩いてた韓国人オールドカップルと、それぞれ写真を撮りあった。他の人に写真頼もうとすると、カップルのおっちゃんが「俺が撮る!」と立候補してくれたので笑った。専属😂

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オールドカップル2人とも韓国語しか話さないみたいで、「カムサハムニダ!」とボディランゲージ👍でコミュニケーションを取った。ほんとに笑顔が素敵な2人やったし、そして、彼らみたいに国内旅行の人がわりと多いようやった。このときヘウンデの本通りで一回だけ見た西洋人の旅行者、白人やアフリカ系はめちゃくちゃ浮いていた。ラテン系の観光客にあたっては2泊3日で1人も見なかったんちゃうかな。東南アジアの人や中国人もほとんど見なかった。

写真撮りまくってようやく着いた海。

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ヘウンデのエイチ。
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めちゃくちゃ人多い。みんななにするでもなく海岸に集っている、元旦から。
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海のある街ってさ、観光客もローカルも不思議に海岸でふらふらするよな。そのスロウな雰囲気が好き。

何するでもなく夕方の時間をみんなでひとりで海を見ながら過ごす普通を持つ人たちってぜったいなんか違うよぜったい、かなり豊かだ。海辺に住みたいなあ。
私、自販機も好き。写真撮っちゃう。
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そしてこんなかでもやっぱり
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右端気になるなあ。

ぜんぶわからん過ぎて、私は「高級珈琲」を、母は「珈琲+糖」を、それぞれ押した。私のは高級と銘打たれているのに、他のと同じ500ウォン。今思えば、他の得体の知れないもののボタンを押してもよかったよなあ。

出てきたのは、しっかりコーヒーやったんやけど、私のはあ〜んまいミルクコーヒー、母のはゲロゲロゲロあまミルクコーヒーやった。いろいろなんでなん?

坂の多い街。足腰鍛えられる。

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釜山にはセブンイレブンが多い。次いでnice to CU、GS25という韓国コンビニチェーン。どこも食べ物の品揃えがハンパな気構えじゃない。写真撮ってないけど。

ヘウンデに来たのは、海を見に、そして、海辺の観光列車に乗りに。ブルーラインパークから電車は出ている。

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なんか綺麗やし出店とかも出てた。韓国ってどこにいても食べ物の匂いがする。

がやがやしてて撮り忘れたけど、観光列車は大人気で、チケットの列と乗車の列があった。列車には2種類あって、カプセルタイプの貸切列車(トロッコ)と窓に向けて席がついてる普通の観光列車。値段は5倍くらい違う。

到着日やしゆっくりしてたし、着いたのが16時半くらいやったから、カプセル列車のほうは売り切れ。観光列車の方は17時半の回以降になるらしい。受付のお姉さんは親切に英語で対応してくれた。

母がリサーチしてくれてて、車内から夕日を見るつもりやったけど、ちょっと厳しいかなあ。列車は時間指定でチケットを買えるので、ヘウンデに着いたら速攻買って、それから観光するのが正解っぽい。

ラウンドトリップ(往復)でも買えるけど、帰りは19時半とかの便になると。ブルーライン以外で帰ってくる方法はある?と訊いたら、バスかタクシーで大丈夫!とのことだったので、とりあえず片道チケットを買ってその場を離れた。

一応係の人たち(受付や列の整理係)は英語で話してはくれるし、表示にも英語表記はあるけど、アナウンスは完全にすべて韓国語だった。

乗車は20分前くらいに来てね!と言われていたので、周りを散策。

ブルーラインパークから少し降りると、海岸に面した車道に出る。

そこで見た綺麗な夕日。これはたぶんphoto byママ。

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海辺の高層ビル群ヘウンデの見守るなかで日の入りショーが開催されているみたいだ。ブラーボ!

歩いてるとテラス席のあるお刺身屋さんなんかあったりして、地元の人たちが家族で車で乗り入れている。いや〜テラスお刺身は寒いか!と思った。

ぶらぶら歩いているともう17時前だったので、急いで乗り場に戻る。そこには少しだけ列ができていた。

列から撮った夕方の空と読めない文字。
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なんとなくこの色彩の淡さに韓国を感じる。Pの文字に反して、とくに車を停める建物でもなさそう。

列車に乗るための列は後ろにどんどん伸びて、早めに戻ってきてよかったねと言いながら昼間に撮った写真を交換する。今から晩御飯やというのに、鯖をあんまり食べなかったママはお腹すいたと言って空港で買ったキットカットを食べてた。

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待ちの列のそばに、今晩行こうかと言ってたご飯屋さんのものらしき広告。

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私がずっと食べたい食べたいと言っているカンジャンケジャンを出すお店で、これも母のリサーチのもの。

どうやらブルーライン沿線に何店舗かあるみたいやし、着いたら近いとこに歩いて行こうか、と決める。

ようやく乗った列車では、無事いい席に座れた。

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日の入りショーは終わったけど、まだ薄く明るい海。
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爽やかな景色に反して、やっぱり人がいっぱいでちゃんと換気のなっていない車内は韓国人の体臭で満ち満ちていた。うっと怯むほどに。ローカル!ね!!!

列車はひたすら海辺を走る。ほんとに景色がずっと綺麗で、そりゃ観光資源になるよなと思った。

海辺の道はずっと整備されてて、昔は歩けたみたいなんやけど、

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右端に映り込んでるみたいにところどころ道が崩れてる?ところがあって、今は全線閉鎖されている。もったいない!!!和歌山にあるみたいな水中を覗ける施設とかもあるみたいやったのに。

春や秋はきっとすごく歩いてて気持ちいいはず。これはもっかいちゃんと整備して開放してほしい。

10分くらい乗ってるうちに、本格的に日が暮れてくる。

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こういう灯りってどうしようもなくわくわくする。
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海辺の灯りを見ると、私はいつも「千と千尋の神隠し」のワンシーンを思い出す。廃テーマパークが海に沈み、遙かから到着した船、ぐるりを圧倒的に灯る照明、ぞくぞくずらずら出てくる人ならぬものの集団。

暗闇、とくに夜の海の得体の知れない深い闇に浮かび上がる鮮烈な文明の光というのは、そこになにか異様に力強い"世界"があるような印象をどうしても私に抱かせる。

ソンジェオンという終着駅に着くころには真っ暗。

きれいな砂浜が広がっていたので、揚々と歩く母。

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湾曲した浜辺は白浜にある白良浜を思い出させる。同時に、海のきわきわまで迫る建物と山は熱海を彷彿とさせる。あの山の上にほら、熱海城がありそうだ。

熱海といえば卒業旅行。私の、「秘宝館に行きたい」というアホなお願いによくも友達は付き合ってくれたなあ……。

振り返ると、照明の多い街。どの窓にもカーテンがかかってなくて、部屋に対して明かりが多すぎ。
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海岸沿いの道路脇には、サーフボード置き場がある。

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母があることに気づく。「なんで盗まれへんの!?」あと、「砂浜にゴミひとつ落ちてないのなんで!?」。

たしかに言われてみれば、砂浜には人工物も海藻も、なにひとつ、汚いものがない。完璧に粒子の細かい砂のみ。日本なら缶やペットボトルがそこここにあるし、というか日本海に前行ったときロシアから漂着したシャンプーのボトルとか落ちてたし、その場で捨てなくても流れ着いてくるゴミがあるはず。

それに時期外れの海、海藻で散らかっていて然るべきである。そういうものはいっっっっさいない。

母の出した結論は「民度が高いんやわ」。

釜山の街角には、大阪ぐらい煙草の吸い殻落ちてるけど、回収待ちかなにかのゴミ袋が山ほど積まれてるけど、たまにポルノっぽいチラシ落ちてるけど、確かに人々はみな優しく治安も良さそうだ。なにしろ、母曰く路駐が完全に許されているそうで、たしかにベンツが道端に停めてある。無傷で。ホームレスも見かけなかった……1人見たかな?くらい。

ちなみに韓国には日本車は走っていない。2泊3日で一回だけレクサスを見たきりだ。あとはぜんぶヒュンダイとその兄弟会社らしいKIA。ソウルに行ったときもその二社のものしか見なかった。こんなに近いのにねっ!

電気系はだいたいサムスンとLG、どちらも韓国企業。トイレや洗面も韓国のやつか、あとはホテルとかでっかいビルやとAmerican Standard社製のこともある。TOTOを見たことは一度もない。

朝鮮半島の分断の歴史的に、西洋化するタイミングって日本と同じくらいか早かったんかな?それでもライフラインの発展は日本のほうが早そうやけど。

海辺には、ちょっと大型施設の廃墟とかもあったけど、ほんとに治安はいい。しかし、海藻や漂流物がないのは民度では片付かんよな……と思いながら着いたレストラン。

Mipojip Seafood 住所:부산광역시 해운대구 송정구덕포길 70

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新しい店舗みたいで、オペレーションおわってた。私たちが20分くらい待って案内されたときには、全テーブルのほとんどが食事後の大散らかりで客ほとんどおらん。で、案内されたあとは店員さん4人のうち3人が片付けしてるからお料理出てくるの鬼遅かった。
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けど、

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美味しい🫶🫶🫶🫶🫶🫶🫶
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カラフル🫶🫶🫶🫶🫶🫶🫶🫶豪華🫶🫶

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韓国のビール薄くて飲みやすくて瓶でかくて好き🫶🫶🫶🫶🫶

そしてまあ、生のカニというのは初めて食べた。日本のカニの(日本のカニ?)お刺身は食べたことあるけど、なんというか、生の、ワタリガニ。ちょっと"ガザミ"感のあるまるままのカニ

食べたいと言い出しておきながらかなり抵抗があった。まずもって奈良県民の自分は、生魚とは無縁の幼少期を過ごしてきたのだ。お魚のお刺身を食べれるようになったのも、居酒屋でお酒を飲み出してからではないか。お寿司だって昔は炙りサーモンしか食べなかった。マグロは今でも食べない。

しかし、この生ガニは美味しかった。ひとつも生臭くなかった。ひんやりしてケジャンの味がしっかりした。手袋をしてかぶりついた。

ママはずっと「パセリ多ない?」と言っていた。

一緒に頼んだ帆立の釜飯も、とびっこがぷちぷちしてめっちゃ美味しかった。

しかしここまで、アツアツの食べ物というのが、ぐつぐつのチゲ以外ひとつも出てきていない。すべてが常温かぬるいか少し冷たい。一緒についてきたお味噌汁もさることながら、お釜の状態でまさにある釜飯さえぬるい。それはお昼間の鯖屋さんもそうで、あのよくわからん百割粥の飲み物も「少しぬるい」だった。これは韓国の文化なのか?それとも、日本人がアツアツに重きを置きすぎているのか?

ところでこのお店の看板メニューは、このランチョンマットと駅の広告にある、

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海鮮をひたすらケジャンに漬けたやつで、食べればたちまち美人になるというような触れ込みなんやけど、魚介類をこんなに生でふんだんに食べられるわけがないので頼まなかった。ぜんぶ生はちょっと怯む。

食べ終わって、お腹ぱんぱん、お店の人に「タクシーってこの辺いるかなあ」と不安いっぱいに訊くと、少し考えたあとに「呼んであげる」と言ってくれた。自分のスマホカカオトークで呼んでくれてたから、ふつうはしないんやと思う。

受付のお姉さん、やっぱり優しくて、タクシーの運ちゃんと電話で話したりして、私たちが乗り込むまで見送ってくれた。

ましっそっそよ!かむさはむにだ!と繰り返して別れた。

ここで1人だけラテンの血の混じってそうな店員さんいたけど、全日程において100%韓国人でない人が働いてるのを見たのはこの一回きりだった。彼女もアジア人とのミックスぽかったから、ほんまに韓国って職が不足してて韓国人しか働いてないねんなあ。

タクシーに乗って着いたのは、X the SKYという展望台のあるビル。夕方、電車に乗る前にいたエリアに戻ってきた。ヘウンデの中心地。

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ここにあるのが
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世界一高いところにあるスタバ!99階にあるねんて。

BLACKUP COFFEEてなに?偽物のスタバ?スタバの偽物?と思ったけど、これ、スタバとBLACKUP COFFEEの2種類2店舗があるよって意味か。今わかった。

展望台からの景色きれかった。
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さっき行った浜辺。よくわからん模様が敷いてある。あれってこっちから見たら模様わかるけど浜辺からは見えへんよな?

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photo by ママのやつ、色彩とかちゃんと整えてナイトモードで撮ってて素晴らしい!

ちょっと函館の夜景を思い出した。母と私は比較して違いや類似点を述べるのが好きだ。それって色々知らないとできないから、生きていくにつれて話題の材料は延々と増える。

99階のスタバは閉店直前でドリップコーヒーを置いておらず、母はアメリカーノを、私は青いファームミルクの乗ったアーモンドミルクラテかなにかを頼んでそそくさと出た。なぜなら、「テイクアウトカップでは店内滞在できません」という紙を店員が指し示してきたからだ。

あと10分で閉店やのに店内カップでオーダーはアホすぎてできなかった。謎ルール。

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中庭みたいな、ちょっと外のところでX。

そういえば行き帰りのエレベーターがすごかった。全面LEDのスクリーン?で、空の映像とか海の映像とかド派手に映し出されて、退屈させてこなかった。降りるときの演出がどびゅーんと空から海に飛び込む映像だったのと、Gを身体にめちゃくちゃ感じる速度だったので、ビビリの私は心臓浮いた。

さっき調べたら、韓国は2023年、経済的に先進国の仲間入りをしたらしい。たしかにヘウンデの街は、行ったことのないシンガポールを想起させる。

海辺のビル群から離れ、ふたたび着いたときの大通りから駅の方へ向かう。

これはちょっとお気に入りの写真。

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信号待ちの人々の背後にそびえるクリスマスツリー。

韓国はキリスト教徒が多いので、西欧諸国のように年が明けてもだらだらとクリスマスの飾り付けを外さない。12月25日の22時くらいから、よーいどんでクリスマスツリー片付け始める私たちの国からは考えられないよね。まるでお正月こそがメインイベントかのように目まぐるしい師走。てか日本人って勝手に自分らのこと追い込んで忙しくさせてるよね。

大通りは、お昼からずっと出店がある。パン!パン!と聞こえるのは
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壁いっぱいの風船になにかを当てて割る射的屋さん。ところどころで盛り上がってた。

歩いていると、ふと右に逸れる道に市場。
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海雲台伝統市場 住所:부산광역시 해운대구 구남로41번길 22-1

大通りを歩いてたら、市場の通りの賑やかさに足を止めてしまうはず。市場と知らずに母と私も明かりに誘われて道を逸れた。

魚市場らしく、干物やまるままのお魚、水槽に魚介類が並ぶ。そこでいちばん気になったのが、

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写真の写真なんやけど、「有名なゴムザングオ」。ゴムザングオでGoogle検索してもなにも引っかからへん。たぶん、日本では「コムジャンオ」という表記かな?つまり、ぬたうなぎ。

これをどこのお店も小さな水槽にいっぱいに入れていて、通りはちょっとグロい。店先で解体してるおばちゃんもおった。切り身は糸を引いていた…………ショッキング……。

歩いているうちに食器や衣料品、キムチ屋さんもあった。なんでも買えそう。引き返すと、ぐうぜん、
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ママがリサーチ中いちばん楽しみにしてた、
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ホットク屋さんが出現した!

ほんとは明日、BIFF広場という別のエリアにある屋台で食べる予定やったけど、海雲台にも支店?本店?があったみたい。

甘いバターの香りが漂う。人々はこの、ひとつ2,000ウォンのホットクに列をなしていた。どの人も韓国の顔立ち。

そしてまた韓国人の性質についてなのだが、彼らというのは他人との距離の近さや少しの接触にはまったく怯まない。電車を乗ってても思うのだが、割と狭い座席に体格のいい男性がぎうぎうに座る。狭い国土に合った国民性でよいな〜と思う。日本人はパーソナルスペースが明確にありすぎるせいで、どこもかしこも狭いというのに他人を許せない潔癖やから生きづらい。と思う。

まあだから人にばんばん接触しながら芋の子の気分でゲットしたホットク。
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悪魔的な食べ物。塊のバターが鉄板に置いてあって、溶かしたそれで黒蜜やミックス穀物の入った小麦粉のお餅を揚げるのだ。ひぇ〜!

ママがひまわりの種とか穀物系のものが好きなので、嬉しそうだった。

ぺろりと2人で1つ食べてから、くたくたでホテルへの帰路に着く。また地下鉄でソミョンに戻るのだが、目の前の座席で大学生くらいの男の子がふたり、1つのスマホで動画を見ていて、その距離の近さにびっくりした。

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ホテルの周りはどの通りでもきらびやかにイルミネーションが光る。

元旦でも開いてるお店は多いし、釜山、というか韓国の都会はほんとに夜が賑やかやなあ。

ホテルには大浴場があったけど、追加でお金がかかるという。くたくたに疲れていたので、お部屋のシャワーを浴びて眠った。

 

2日目へ続く………!