シンチャオ!
ベトナムの挨拶は、朝昼晩とシンチャオ!だそうです。しかし、相手の年齢(20歳以上離れてるか)によってだけ変わるんやって。昨日のガイドさんが教えてくれた。
昨日は疲れ果てておりました。今朝はゆっくりめに、8時半起床。戦争博物館は8時から開くけど、電車が15時なので時間があるしなあ。
ゆっくりになるのは、外の天気のせいでもある。大雨ざあざあ、天気予報も雷雲のマーク。ほんとは予報は全日程雨だったし、2日間なんとか耐えて3日目にしてようやく雨の日になるならラッキーだったな。
用意をして、荷物をパックし、タクシーを呼んでチェックアウト。
バックパックから折り畳み傘を引っ張り出し、荷物を預けさせてもらった。
手続きが終わると、すぐ到着したタクシー。
Grabというアプリで呼べる。タクシーはあふれているので、べんり。
タクシーって積極的に乗りたくなかった。Twitterかなにかで「ロサンゼルスでは公共交通機関ではなくウーバーやタクシーを使うべき」という投稿を見て、「なんで衆人環視のバスや電車より他人の車に乗り込むウーバーの方が安全やねん」と思った。Uberは個人情報と紐付けされているし、運転手は客にレートされてるから星が少なければ乗車しなければいい、は?bullshitだ。人を乗せるサービス星5の人間だからといって殺人を犯さない保証がどこにあるんですか?と思う。だから公共交通機関のほうを信じてる。
けど、まあ、ベトナムは交通量が多いし、そのぶん車や原チャリは交差点で速度を落とす。もし異変を感じたら降りればいいし、ドアロックされてたら窓を開けてすぐ隣の原チャリに助けを求めればいい。
と、2日間過ごして思ったので乗るにいたった。
異様に慎重なのである。
それに、Grabでは乗降場所を指定すると金額が出て、運転手さんもそれに準じて精算をする、ぼったくりが発生しない。つくづくハノイは観光しやすい都市だな〜。
昨日のガイドさん、「友達はみんな先進国に働きに行く」と言ってたけど、ベトナムの過ごしやすさったらないなと思うけど。だってさっきケンタッキーの店員さんがバイタクで出勤するの見たよ。それって賃金とサービスの価格がめちゃくちゃ均整とれてるってことじゃない?
日本だとベトナムよりたくさんのお金が稼げるかもやけど、なにをするにもたくさんお金が必要で、外国人労働者にとったらそれは身動きできないほどのバランスなんじゃないかな?
タクシーの運転手さんは、私の乗車中一度たりともクラクションを鳴らさなかった。こんなに老若男女プァープァーピーピーいわせてる街で。ちょっと車の中に充満する体臭がきつかったけど、私は彼をいい人で好きだなと思った。
15分くらい乗って、34,000ドン(≒211円)。
着いたのは、
フォー屋さん!
インスタでネギまみれのフォーを見かけて、ぜひ食べたいと思って来た。徒歩圏内を外れてるけど、行かなきゃ後悔するなと思って。
明朗会計、入り口で70,000ドン(≒435円)を支払い、席に着くとすぐ熱々のフォーがサーブされる。
周りはみんなベトナム人。活気があって楽しい。
牛肉がいっぱい入ってて、スープが美味しい。意外なことににんにくがけっこう入ってた。
卓上のライムを絞り、酸っぱい匂いの唐辛子調味料を入れた。
お皿の中の唐辛子は やめておいた。
周りの人が揚げパンを食べてるので、羨ましくて私も注文した。5,000ドン(≒31円)
注文したら「マニー!」と言われて、なんですか?と思ってしまった。そんなことで なんですか? って思うってことは、ハノイに来てからまじで嫌な思いしてないんやな。
揚げパンはひとつ髪の毛がついてて食べなかったけど、2つでじゅうぶんだった。スープに浸して、ホットソースをかけて食べたら美味しかった。
隣に座った親子が、ティッシュを取ってもらったのをきっかけに話しかけてくれた。
「ひとりで旅行してるの?」とやっぱり驚いている。そんなに珍しいことじゃないと思うけど、みんなびっくりしてくれるので誇らしい気持ちになる。
「韓国の人?」と訊かれ、昨日もシンガポールのおじさんにそう訊かれたな〜と思う。個人的には表情が韓国人のそれではないなと思うんだが、他のアジアの国の人には判別ってつかないんやな。韓国のファンデーション使ってるしな。
40くらいの娘さんが英語を話して、60過ぎくらいのお母さんの通訳を少ししてくれた。「you are beautiful!」と親子で何回も言ってくれた。嬉しかった😊
Phở Thìn
長い卓で現地の人とフォーを啜る雰囲気がおもしろいし、肝心の味も美味しいから、足を伸ばして来てよかった!
もうひとつクリップしてたカフェが、歩いて15分のところにあるし、雨のなか少し歩いてみる。
ベトナムにもクリスチャンはいるみたい。なんとなく宗教的に閉鎖的なのかなあと思ってたから、ちょっと意外。
建設中か、頓挫中か、わかんないけど立派な建物。ホテルなのかな。
完全に人の気配のしない煉瓦造りの邸宅。歴史もありそうだけど打ち捨てられている。
ハノイの人たちは、雨でも軒先に椅子を出して何をするでもなく存在してる。外国人観光客の私をじろじろ見る目も、天候関係なく健在。
スマホを触ってるのは制服来てたり働いてたりする人に多くて、自分のお店や家の軒先にいる人たちはほんとうになにもせずに通りを眺めている。雨の日も見られてよかったかもな。街は天気によって表情を変える。
着いたのは、これもインスタで見たカフェ。
THE WISELANDS Coffee
なんか甘いものも食べとかないとなって思って、来た。本がいっぱい置いてあるのが見どころのカフェらしい。
ここでもコナンくん。
壁にはパリス。フランスとの関係性ってそんな感じ?
まあかわいい店内。ただ、BGMがなくて、無音。あんまり居心地良くない。
店員さんは感じよくて、Wi-Fiも嫌な顔せず彼の手で繋いでくれさえした。
チョコレートケーキとコーヒー 80,000ドン(≒497円)弱。値段控えるの忘れた!
ふつうのホットコーヒーを注文したけど、明らかに濃い!!!甘いものと飲んで嬉しいストロング。ケーキはふつうのスポンジケーキで軽く食べられた。
さて博物館までどのくらいかかるのかな〜と、マップを開いたら
私は私を、嫌いになるところだった。
博物館には、お昼休憩が、あるのだった。8時開館に、行かなければいけないのだった。
電車は15時15分。それは動かせない。博物館からホテルに寄り、荷物ピックアップしてタクシー乗って、駅に着くまで30分見ると、1時間半くらいしか見学できない………。
まあ仕方ないか、歩いてバインミーでも食べに行こう。
カフェを出て、まだまだ雨の中傘をさして歩きだす。とりあえず、じゃあ、バインミー屋さんを目指した。歩いていると、ツーリスティックなエリアに入る。フットマッサージ、スーベニア、ホテル……。小綺麗なホテルの前には、決まって白人がいる。
バインミー屋さんに着くも、まったくお腹空いてない。当たり前だ、フォーに揚げパン、ケーキまで食べたんだから。
ぶらぶら歩いて、もう博物館に向かうことにした。
と、ぱっと道がひらけて
でっかチャーチ。
灰色の、見たことない形の教会が現れた。
磔の人型みたいなマークがたくさんついてる。
ちょうどこの教会を見ているとき、友達とインスタで「知識を貯めるすることに意味がないような気がしてしまう」という話をしていた。
友達は「色んなところへ行ってたくさんのことを知り、アーカイブするはいいことだ」と言ったのに。私は、どうしてそんなふうに思うのか考えた。知識欲のまま、興味の赴くままに生きてきたから、じっさいさまざまを自分のなかでアーカイブすることをこそ大事に思っているはずなのに。
で、返信した。「いろいろ知るごとにひとりぼっちの気持ちになる」と。それは送信したあとに、腑に落ちた。アメリカにひとりで行けるようになってから、そしてそのときの話を誰にもできないでブログなんかに書き溜めてから、私は孤独だ。
周りに、私の言うことを実体験や実感を伴って聞いて、解って、同じように話をしてくれる同年代がいない。どこまで行けるかぐんぐん試しているうちに、二度と同じところへは帰れないようになってしまった。私は、さみしいのだ。しみじみと、望郷の念ではない、故郷はある。自分の家のある場所へと帰れる、でも、同じような世界を見た人が周りにいない。別の視点でもなんでもいい、いろんなことを静かに見て、ひとりでどこへでも行けるような人。
さみしくなってちょっと泣きそうになって教会を見上げた。友達が「君と同じようなことを共有できる人はこの世に何人いるんだろう」などと正論を言ってきたからだ。誰にも話が通じないなら、これが誰とも共有できないなら、私はなんのためにアーカイブしているのだろう。しこたま降る雨と陰気な色の教会は南国に相応しくなく辛気臭い。
ところで歩く、やっぱりみんな見てくる。
はじめは、「ベトナムの人って主観という概念がないのか」とか考えていた。見るという行動が一人称すぎて、見ている自分の目については抜け落ちてるのかなと。
でも、違った。だって目があって私が笑うと、ほとんどみんな笑うのだ。にこっと、人の良い笑顔を見せてくれる。あははと笑ってしまいそうになる。
主観が抜け落ちてるのはむしろ日本人のほうだな。私は身体が大きいのでしばしば人に見られるが、視線を感じてそっちを向くとみんな目を逸らす。見ている自分が見られることを、想像せず見るから目撃されて狼狽える。
肩も脚もびしゃびしゃになりながら歩く。
ハノイの市街地、隙間シリーズ
そしてこれは、ご飯屋さんじゃないお店の軒先に食卓を広げてお昼ご飯をとるおじさんを遠くから盗撮。黄色い卓が見えますか?
青菜炒めとかをテーブルに広げて、楽しそうに食べてた。食べに行くか、なかで食べれば? 過ぎた。
開館する13時の10分前に博物館に着いた。びっくり、列ができている。
それも、全員白人。まじめに私以外。
ヨーロッパ人ばかりのなか、13時3分くらい、入場する。
見学してると、日本人のグループが1組や、ベトナム人も少し見かけた。英語も聞こえて、でも、訛りがひどかったのでオーストラリアかなと思ったりした。
Vietnam Military History Museumは、説明書きのほとんどがベトナム語と英語の併記だった。1階は1400年代とかにモンゴルに攻め込まれた話、2階は1945年付近の独立運動について。
建物はちょっとかわいい。
床薄いな。
ベトナム戦争のミュージアムだと思っていたので、少しずれていた。主に宗主国フランスとゲリラで戦った話や、ファシスト日本と戦って退けた話だった。そう、私は完全にひとごとのつもりで、「ヨーロッパの白人さんたち、どんな気持ちで展示見てるんやろな〜」とか思ってた。思ってたら、"Japanese fascist"という文字が出てきたのでガチでびっくりしてしまった。
私ってなんて無知なんだろうと恥ずかしく思った。展示に"enemy"と表記されるなかに、日本が入っていたのだった。フィリピンを侵攻したのは認識してたけど、ベトナムもとは思ってなかった。よくもまあ「フランスパンが美味しいのはフランスに占領されてたから〜」なんて言ったものだと思う。
ベトナム戦争が始まる前の、宗主国からの解放とそのために戦った主要なゲリラが説明されていた。ゲリラ軍は、それぞれ30名ほどで、農民や若者たちは槍や爆弾で戦ったという。
「私たちは敵を倒した、この戦いでフランス人約何千人、何個中隊を壊滅させた」って感じに書いてあって、ああそっかあ〜……と思った。
そっか、民主主義を支持する南は負けて社会主義のホーチミンたち北が勝ったから、今のベトナムは社会主義国で、博物館の目の前にレーニン広場があるんよなあ……フランスからの解放を成し遂げて、欧米の民主主義国を敵と設定したんやもんなあ……そうよなあ……と。
日本だって敗戦国やけど、一昨年は広島に行って原爆資料館観てきたけど、なんか、そっか、ぜんぜん違うなあ。
学びたかったベトナム戦争の展示はなかったけど、その前の歴史を少しながら知ることができてよかった。もっと勉強しようと思った。
私は強いものや大きいものが好きで、マジョリティはある程度の正しさを持っていると思っている。だからアメリカが好きで、英語が好きで、ヨーロッパの歴史ある街並みをいつか歩きたいと強く思う。意識が完全に西洋に向いている。
しかし私の顔が、性格が、遺伝子が、属する日本という国の、東アジアの、アジアの、ほうに目を向けてものを考えるのは、世界に出て英語で話すには不可欠なんではないかと思った。
昨日のフードツアー、私はガチガチに緊張して表情も固く、喋りかけられるまで喋らなかったし笑わなかった。欧米の人たちは、仕草として笑う。自分の出自やルーツを簡単に話す。敵意がないことを示す、それが習慣だから。私は違う。私は欧米人じゃないし、それになりたいとも思わない。他人に敵意がないことを示すために、目が合った瞬間笑う文化は私の国にはない。べつにそれでいい。民主主義だけが正しいとは私は思わない。
一通り展示をみて、14時過ぎに博物館を出た。レーニン広場を横目に歩く。
レーニン オン ア レイニン デイと思って笑う。
ハノイには ときどきムカつくほど通行不可能な道がある。
右左確認してゆっくり車道に降りて、また歩道に戻る。ホテルまで10分、大雨の中を歩く。
カウンターにレセプションの人がいなくて、外にいる警備員の人に相談した。おじさんは仏頂面だけど、さっき私がタクシーを待ってるとき、いきなり隣の建物で工事が始まってびっくりして、顔を見合わせてふたりで爆笑したから喋りかけやすかった。
おじさんが呼び出してくれたレセプションの人から、荷物を受け取る。
10kgあるバックパックが煩わしいので、grabでタクシーを呼んだ。駅との中間地点にある、バインミー屋さんまで、約5分32,000ドン(≒199円)。
しかしアプリを触っていると、急に中国語のメッセージが来て、インターネットが使えなくなった。ビビり倒した。まずタクシー呼んでるのに車番とか確認しようがないし、いまインターネット使い切ったとしたらWi-Fiのあるカフェに入る暇もない、電車に乗ってハイフォンに着いても、ホテルを見つける術がない、中国語のメッセージ、くそこれなに書いてんねん、あれ、なんか、grabのアプリで電話みたいなんかかってきた、とれへん、やべえ〜!
外からクラクションが聞こえる。車に近づくと、窓が開いて、名前が呼ばれた。乗り込むと、スマホに4Gマークが戻ってきた。grabのアプリも見れた。
なんやったんや………。中国語のメッセージを翻訳アプリに通すと、「ようこそベトナムへ🌟なにかあったらここにアクセスしてね」とeSIMの会社のURL。
おいふざけんな、こんなくだらんことを伝えてよこすために生命線揺らすな。
インターネット切れても、まあ、やりようはあったけど、こんなに焦るもんかあ〜と思った。なにしろ道ゆく人々とは英単語ででも意思疎通が難しいのだ、不安は否応なく襲う。
私は文明の利器を駆使して、なんか旅行してる気持ちになってるだけなんじゃないかと反省した。今日はなんか省みてばっかだな。
バインミー屋さんでバインミーを購入。袋に入れて縛って渡してくれた。
Bánh Mỳ Trâm - 30 Đình Ngang
25,000ドン(≒155円)。
雷が遠くで聞こえたけど、まだ迫ってきてはいないようなので、駅まで10分歩いた。200円で乗れるタクシーに乗るのを惜しむのは貧しい考えだろうか。私の場合、2万円でベトナムに来れるなら安いと思う。しかし2万円で東京のビジネスホテルに1泊はちょっと納得できない。200円で美味しいフォーが食べられるなら毎日食べるけど、歩ける距離を雨だからとタクシー乗るのに200円はやっぱり納得いきかねる。
豊かかそうでないかは、物事にお金をたくさんかけられるかそうでないかではないような気がする。物事の価値を見定める目を持ち、使うべきときに然るべき金額を支払う決断ができるかどうかじゃないかな。お金を使う以外の方法で満たされることのできる人でないと、お金を正しく使うことはできないんじゃないか。
泊まったホテルは水洗も衛生面も微妙だったけど、1泊3,000円しか出してないから妥当かなと私は思った。ホテルのレビューには、disgusting(吐き気がする)と怒りの文章もあったけど。お金を出さなければプロパーなサービスは受けられないし、お金をたくさん出したからといって偉いわけじゃない。資本主義の世の中では、自分が正しいと思える価値観を見出すことは難しい。私がお金に価値観を左右されないのは、特異な理由で今だけお金を持たせてもらい、選択肢があるからだ。お金を出す/出さないの選択ができるのは、そのときお金を持っている人だけだ。
ベトナムは日本と同じ観光の盛んな国なのに、どうして価値を外国にあまり左右されないんだろう。日本ではもう、日本人は存分に遊ぶことができない。日本の土地を使って外国企業が観光で稼いでる。お金は、日本人の頭上を飛び交っている。ベトナムは、物事にフェアに価格がついているように思える。
駅に着いて、見るのはとりあえず最後になるよなあと感慨深く外観を眺める。雨降ってるからちらっと。
売店で、1,5Lのお水を買う。20,000ドン(≒124円)。バインミーが25,000ドンやのに????やっぱり価値基準わからんわ。
駅は賑やか。
長くなってきたのでここで切る!
次回、電車に乗る🚃